【プレスリリース】低糖質?高タンパク質食摂取による2型糖尿病動物の認知機能の改善とその機構を示唆
群馬大学共同教育学部の島孟留准教授らの研究グループは、2型糖尿病モデルマウスを用いて、4週間の低糖質?高タンパク質食摂取が空間記憶機能を改善させること、この食介入効果に関わりうる海馬内の分子標的を見出しました。
2型糖尿病は、末梢の諸器官のみならず脳へも障害を及ぼし、海馬依存的な学習?記憶機能を低下させます。この改善策として生活習慣(食習慣や運動習慣)を正すことが挙げられます。市場の拡大が続き消費者に広く浸透している低糖質?高タンパク質食(LC-HP食)が、肥満や2型糖尿病の血糖コントロールに有効であることは示されていました。同グループはこれまでに、習慣的なLC-HP食摂取が健康なマウスの認知機能を低下させることを報告していましたが、LC-HP食は2型糖尿病の症状改善に功を奏することから、2型糖尿病の認知機能改善にも寄与するのではないかと想定しました。今回の研究により、4週間のLC-HP食摂取が2型糖尿病モデルマウスの空間記憶機能を改善させることを確認しました。さらに、LC-HP食摂取が、2型糖尿病マウスの神経可塑性に関わる海馬内Lrp6やWnt3a、Igf1r?mRNA発現を改善することも確認されました。これらのことから、上記の分子発現の改善により、2型糖尿病の空間記憶機能を改善するLC-HP食摂取効果が生じることが示唆されました。
今後、本研究成果を足がかりとして、2型糖尿病の認知機能の改善に向けた分子標的の解明や、より有益な食事療法の発展に期待がかかります。
本研究成果は、2025年 5月 16日に、「The Journal of Nutritional Biochemistry」オンライン版で公開されました。
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低糖質?高タンパク質食摂取による2型糖尿病動物の認知機能の改善とその機構を示唆